我が家が注文住宅を建てたとき、相見積もりは取りませんでした。
面倒だったからでも、断るのが気まずかったからでもありません。そもそも「複数の会社から見積もりを取る」という発想が、頭になかったのです。
住宅相談カウンターで紹介してもらった会社を5社まわって、その中でいちばん感じのよかった1社に決めました。具体的な金額を出してもらったのは、その1社だけ。それが当たり前だと思っていたのです。
この記事では、相見積もりを取らずに契約した我が家の実体験と、5年住んだ今だから言える「何社くらい比較しておけばよかったか」を正直にお話しします。
あわせて、注文住宅を建てた100人に実施したアンケートの結果も載せています。実際にみんなが何社から見積もりを取っていて、それが満足度とどう関係していたのか。正直、私の予想とは違う結果になりました。
結論|相見積もりは3社。ゼロだけは避けてほしい
先に結論を書きます。
- 見積もりを取るのは3社が目安(多すぎると比較しきれません)
- ただし「1社だけ」は避けたほうがいいというのが、実際にそうしてしまった私の実感です
- 比較の目的は値切りではなく、「その金額が妥当かどうかを知ること」
10社も20社も回る必要はありません。でも1社だと、その見積もりが高いのか安いのか、判断する材料が何もないのです。
※もともと私は「2〜3社」と考えていましたが、注文住宅を建てた100人に聞いたところ、分かれ目は3社でした。詳しくは記事の後半でお話しします。
我が家の失敗|5社まわったのに、見積もりは1社だけ
「5社も見たなら、ちゃんと比較したのでは?」と思われるかもしれません。でもここに、私が見落としていた落とし穴がありました。
「話を聞く」と「見積もりを取る」はまったく別のこと
我が家がやったのは、こういうことでした。
| やったこと | 社数 |
|---|---|
| 話を聞いた・提案を見た | 5社 |
| 具体的な見積もり金額を出してもらった | 1社だけ |

5社をまわっている時点で、私は「ちゃんと比較している」つもりでいました。でも実際に比べていたのは、雰囲気・担当者の印象・展示場で見た家の感じだけ。お金の話は、最後に残った1社としかしていなかったのです。
ここが分かれ道でした。会社を絞り込むまでは順調だったのに、絞り込んだあとに「じゃあこの金額は妥当なの?」を確かめる工程が丸ごと抜けていたのです。
気づいたのは、ブログを始めてから
正直に書きますが、私がこのことに気づいたのは、家を建ててからずっとあと——このブログを始めて、家づくりについて調べるようになってからでした。
他の方の家づくり体験を読んでいると、「3社から見積もりを取って比較した」「A社の見積もりをB社に見せたら金額が変わった」といった話が普通に出てきます。それを読んで、はじめて「あ、そういうものだったのか」と思ったのです。
契約したときは、自分が何かを飛ばしていることにすら気づいていませんでした。知らないことは、知らないと気づけない。これが家づくりのいちばん怖いところだと思います。
なぜ「発想がなかった」のか
今になって振り返ると、無理もなかったかなとも思います。
家づくりは、多くの人にとって人生で一度きりです。二度目があれば「前回はこうだったから」と学べますが、その機会がありません。しかも誰も「比較の作法」を教えてくれないのです。
車を買うときや保険を選ぶときは、「何社か見比べるもの」という感覚が自然と身についています。でも住宅は、そもそも見比べる経験そのものがない。比較の仕方を知らないまま、いちばん大きな買い物に臨むことになるわけです。
だから、もしこの記事を読んでいる方が「相見積もりって必要なの?」と思っているなら、それはまったく恥ずかしいことではありません。むしろ、この段階でその疑問を持てている時点で、当時の私よりずっと先に進んでいます。
相見積もりを取らないと、何が起きるのか
実際に取らなかった立場から、5年経って感じていることを3つ挙げます。
①その金額が高いのか安いのか、永遠にわからない
これがいちばん大きいです。
我が家の見積もりが相場より高かったのか、それとも良心的だったのか、今もわかりません。比べる相手がいなかったので、確かめようがないのです。
もちろん、家自体には満足しています。それでも「もう少し安くできたのかな」という小さな引っかかりは、5年経った今も消えません。この気持ちが残り続けるのが、いちばんの損失だったと思います。
②交渉するための材料がない
他社の見積もりがあれば、「こちらではこの金額でした」と伝えることができます。値切るというより、話し合いのテーブルに材料を1つ置けるという感覚です。
我が家にはその材料がなかったので、提示された金額をそのまま受け取るしかありませんでした。数千万円の買い物で、判断材料が1つしかないというのは、あらためて考えると心もとない状態だったと思います。
③提案の幅を知らないまま決めてしまう
これは金額以上に大きいかもしれません。
同じ土地・同じ予算・同じ要望を伝えても、出てくる間取りは会社によってまったく違います。ある会社は水回りをまとめる提案を、別の会社は 生活動線を優先した提案を出してくるかもしれません。
1社しか見ていないと、その会社が得意な形しか選択肢に上がりません。「そういう考え方もあったのか」に出会えないまま決めてしまうのは、金額よりもったいないことだと感じています。
相見積もりは何社が正解?
多すぎると、比較しきれなくなる
「たくさん集めたほうがいい」と思いがちですが、これは現実的ではありません。
見積もりは1社ぶんでも読み解くのに時間がかかります。仕様も書き方も会社ごとに違うので、5社ぶんを横に並べて比べるのは、平日働きながらではかなり大変です。集めただけで力尽きて、結局しっかり見られない——これがいちばんもったいないパターンだと思います。
2〜3社が、現実的な落としどころ
私がもう一度やるなら、2〜3社にします。理由はシンプルで、これくらいなら中身をきちんと読み比べられるからです。
2社あれば「高い・安い」の感覚がつかめます。3社あれば「真ん中がどこか」が見えてきます。それ以上増やしても、判断の精度はそれほど上がらない気がしています。
大事なのは社数そのものではなく、比べられる状態を作ることです。
100人に聞いてみました|「何社が正解か」の答え合わせ
ここまでは、私ひとりの体験と実感で書いてきました。
でも「2〜3社がいい」というのは、あくまで私の感覚です。本当にそうなのか気になって、注文住宅を建てた100人にアンケートを取りました。
結果は、正直に言うと私の予想とは違いました。
まず、みんな何社から見積もりを取っているのか
| 見積もりを取った会社数 | 割合 |
|---|---|
| 1社 | 31% |
| 2社 | 25% |
| 3社 | 14% |
| 4社 | 3% |
| 5社以上 | 4% |
| 覚えていない | 23% |
1社だけで決めた人が31%。我が家と同じです。2社までを合わせると56%で、半分以上の人が1〜2社で決めていました。
「覚えていない」が23%もいるのも、正直な数字だと思います。家づくりの記憶って、思っているより薄れるんですね。
意外だった結果|比較した数と満足度は、関係がなかった
一番知りたかったのは、「たくさん比較した人のほうが、満足しているのか」でした。
| 見積もりを取った数 | 家に満足している人の割合 |
|---|---|
| 1〜2社(56人) | 80% |
| 3社以上(21人) | 81% |
ほとんど同じでした。
正直、意外でした。比較しなかったことを後悔している側の人間としては、「やっぱり比較した人のほうが満足度が高い」という結果を、どこかで期待していたのだと思います。
でもデータはそうではありませんでした。1社で決めた人も、ちゃんと満足して暮らしている。これは事実として書いておきます。
でも、ここに差が出ました|「振り返ってどう思うか」
満足度では差が出ませんでした。けれど、「いま振り返って、比較した会社の数についてどう思いますか」と聞くと、はっきり景色が変わりました。
| 見積もりを取った数 | 「ちょうどよかった」 | 「もっと比較すればよかった」 |
|---|---|---|
| 1社(31人) | 19% | 26% |
| 2社(25人) | 40% | 44% |
| 3社(14人) | 71% | 21% |
| 4社以上(7人) | 100% | 0% |
2社と3社のあいだに、大きな段差がありました。
1社で決めた人のうち「ちょうどよかった」と思えているのは、たった19%。2社でも40%どまりで、しかも44%が「もっと比較すればよかった」と答えています。
ところが3社になると、71%が「ちょうどよかった」と答えている。
記憶がはっきりしている「10年以内に建てた方」だけで見ると、差はもっと明確でした。
| 見積もりを取った数 | 「ちょうどよかった」 | 「もっと比較すればよかった」 |
|---|---|---|
| 1〜2社(14人) | 21% | 57% |
| 3社以上(12人) | 83% | 17% |
そして、「比較しすぎた」人はほとんどいませんでした
アンケートには「もっと少なくてよかった(比較しすぎた)」という選択肢も入れておきました。比較をすすめる方向の質問だけを並べると、誘導になってしまうからです。
結果は、100人中3人。
たくさん比較して後悔している人は、ほぼいませんでした。
100人が教えてくれたこと
まとめると、こうです。
- 比較しても、家そのものへの満足度は変わらない
- でも「あれでよかった」と思えるかどうかは、はっきり変わる
- その分かれ目は、3社
- 比較しすぎて後悔する人は、ほとんどいない
私が「2〜3社」と書いていたのは、感覚としては近かったけれど、少しゆるかったようです。データが指していたのは「3社」でした。
そして、いちばん腑に落ちたのはここです。比較しても満足度は上がらない。それでも比較した人が「ちょうどよかった」と言えるのは、金額の妥当性を自分で確かめたからだと思います。
比べるのは、安くするためではなく、納得して払うため。私が5年かけて感じていたことに、100人の答えが重なりました。
【調査概要】
調査方法:インターネットリサーチ/調査対象:注文住宅を建てた方(自分または配偶者が施主)/有効回答数:100名/調査期間:2026年8月/調査主体:なゆログ/調査実施:Freeasy(アイブリッジ株式会社)
※回答者の72%は10年以上前に住宅を建てた方です。近年の傾向とは異なる可能性があります。
「断るのが気まずい」への、私なりの答え
相見積もりをためらう理由として、よく聞くのが「断るのが申し訳ない」という気持ちです。私も、もし当時この発想があったとしても、ここで足踏みしていたと思います。
でも、5社をまわって4社にお断りを入れた経験から言えることがあります。断るのは、思っていたより普通のことでした。
担当の方は、契約に至らないケースを日常的に経験しています。こちらが延々と悩んで連絡を先延ばしにするより、「他社さんに決めました。ありがとうございました」と早めに一言伝えるほうが、お互いにとってすっきりします。メールや電話で十分です。
気まずさを避けたくて比較そのものをやめてしまうと、数千万円の判断材料を手放すことになります。そこは天秤にかけるまでもないと、今なら思えます。
これから建てる方へ|比較は「早い段階」でしかできません
ここまで書いてきて、いちばんお伝えしたいのはこれです。
比較できるのは、契約する前のほんの一時期だけだということ。契約してしまえば、もう他社の提案を見ることはできません。間取りや設備はあとから変更できても、「どの会社に頼むか」だけはやり直しがきかないのです。
そして、比較のハードルは昔よりずいぶん下がっています。展示場を何週末もかけてまわらなくても、家にいながら複数社の間取りプランと見積もりを取り寄せる方法があります。我が家が毎週末かけて集めていた情報が、今は家で集められるのです。
その仕組みについては、こちらの記事で詳しく書きました。私自身の「1社しか見積もりを取らなかった反省」もあわせてまとめています👇

よくある質問
Q. 相見積もりは失礼になりませんか?
A. なりません。住宅業界では複数社を比較検討するのは一般的なことです。むしろ「他社さんとも検討しています」と最初に伝えておいたほうが、話が具体的に進みやすいと感じます。
Q. 何社くらいがちょうどいいですか?
A. 我が家の反省と、注文住宅を建てた100人へのアンケート結果からは、3社が目安だと思います。それ以上になると読み比べる時間が取れず、集めただけで終わってしまいがちです。
Q. 見積もりを取ると、しつこく営業されませんか?
A. 連絡が来ること自体は避けられません。ただ「検討中です」「他社さんと比較しています」と伝えれば、多くの場合そこまで強引にはなりませんでした。断るときは早めに一言入れるほうが、お互いに気持ちよく終われます。
Q. もう1社に決めかけていますが、今からでも遅くないですか?
A. 契約前ならまだ間に合います。逆に言えば、契約後にできることはありません。決めかけているからこそ、その金額が妥当かどうかを一度確かめておくと、あとから「あれでよかったんだ」と思えます。
まとめ|比較は値切るためではなく、納得するため
- 我が家は5社の話を聞いたのに、見積もりは1社だけだった
- 理由は面倒だからでも気まずいからでもなく、そもそも発想がなかったから
- それに気づいたのはブログを始めて調べるようになってから
- 相見積もりは3社が目安。ゼロだけは避けたい
- 比較の目的は値切りではなく、その金額に納得するため
家は完成しましたし、暮らしにも満足しています。それでも「比べておけばよかった」という小さな引っかかりだけは、5年経っても残っています。
この記事を読んでくださっている方には、同じ引っかかりを持ってほしくありません。「相見積もりって必要かな」と考えられている今、その時点でもう一歩先にいます。あとは動くだけです。
家全体の後悔・やってよかったことは、こちらにまとめています👇

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